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断熱材のヒミツ

断熱材とは、建物全体を包み込み屋外の気温を室内に伝えない役割があります。

しかし、断熱材を住宅に採用されるようになって40年余りしか経っていません。以前は、断熱材無しも普通に建てられている時代でした。

​断熱をしっかりしないと冷暖房費を引き上げるだけでなく、健康被害もでる可能性があります。

断熱材の役割
外より怖い冬の家

日本よりずっと寒い欧米では、長い歴史のなか、寒さに負けない対策が着実にとられてきました。ですが日本はどうでしょう。「寒ければ着込もう!」「そもそも寒くなんてない!」ガマンを美しいとする文化。などの理由で寒さ対策はないがしろにされてきました。

「冬は寒い。だからガマン。」本当に、それでいいのでしょうか?
日本は年間1万7000人もの人がヒートショック、つまり冬場のお風呂場やトイレなど室内で亡くなっています。
交通事故で亡くなる人より、ずっとずっと多いのです。
「冬は寒い。だからこそ、家のなかは暖かく。」それこそ、これからの家が作る快適なのです。

結露は建物の大敵

空気中には目に見えない気体の状態で水蒸気が存在しています。 密閉された空間では、温度が高いほど、飽和状態になるまで空気中に多くの水分(水蒸気)を含むことができますが、温度が下がると、余剰な水分は気体のままではいられず飽和限界が小さくなるので水となります。これが結露という現象です。

冬、暖房の効いた部屋の窓ガラス※が曇るのは、外気で冷たくなったガラスに部屋の暖かい空気が接して温度が下がり、気体状の水分が結露(表面結露)し水となるからです。
※断熱窓で無い場合

さらに、気密性の高い最近の住宅は、室内外の温度差が非常に大きいため、中途半端な断熱では壁内部や断熱材内部など、目の届かない場所にも結露(内部結露)を起こしがちです。

断熱と同時に気密が大切
快適さは空気のコントロール

屋根裏・壁内・床下などに断熱層が無く、また気密性が低い場合、夏場は室内に熱が伝わりやすく、冬場は逆に熱が逃げやすくなります。冷暖房はこの「熱損失」に大きく左右されます。

快適な家は熱の移動が少ない

温かい物も冷たい物も、常に周囲の温度と一定になろうとするため、温度差のある物体間では「熱の移動」が起こります。それは室内の空気でも同じこと。
内外の温度差によって生じる「漏気」による熱移動(貫流)が激しいと、室内で快適な温度は保てません。快適な住空間をつくるポイントは、確かな断熱によって「熱の移動」を抑えることにあります。

​断熱と同時に気密が大切

建物にほんの少しの隙間があれば「漏気」が生じ、冬の寒さ・夏の暑さに悩まされることになります。断熱材を入れたとしても、気密性が保持されるかどうかはまた別の問題で、断熱材によってはもともと空隙(くうげき)があったり、衝撃で隙間ができたものがあり、内部結露を起こす場合があります。
この内部結露はカビの発生原因になるなど、建物に悪影響を及ぼします。「断熱性」を選ぶ時は、「気密性」についても考慮することが大切です。

断熱材の種類
​グラスウール(繊維系)

極細のガラス繊維でできています。
安価な部類とされている上に、防音効果もあります。
そのことから、映画館やコンサートホールなどにも多くの利用例があります。
防音といえばグラスウール、なのです。

また、そもそもの素材がガラス繊維ですから、シロアリなどの虫害を受けることがありませんし、火災にも強いのがメリットです。
建物全体の漏気による熱損失は30~40%と言われていますが、これまであまり議論されていませんでした。

コンセントやスイッチボックスの周囲などわずかな隙間からの漏気が、繊維断熱材では内部で結露に結びつく可能性が指摘されています。

セルローズ断熱材(繊維系)

木質の繊維を利用して作られるのが、このセルローズファイバーです。
綿や新聞紙、段ボールが原料となっています。

これらの原料に、ホウ酸や硫酸アンモニウムを配合することで、難燃性や防虫効果を持たせてあります。
コストとしては比較的高価な部類に入り、施工に手間がかかるとされますが、エコロジーの観点から注目するお施主さまが増えている断熱材です。
同じ繊維質とはいえ、グラスウールに比較して調湿性に優れているという見方もあり、家の結露が気になる方には検討して頂きたい断熱材のひとつです。しかし、気密性がセルローズ自体に有していないため、シートを施工し気密性を確保しないといけない。複雑な形状だとシート施工精度が必要になってくる。

インシュレーションボード(繊維系)

解体された木造建築物の廃材や、木材加工場から出る端材などを廃木材チップに加工し、ボード状に成形したものです。
貴重な木材を再利用するエコロジーのニーズに応えると同時に、木の持つ調湿性から人気の高い断熱材です。
壁の内部でおこる結露にも対応でき、多孔質という特徴による消臭効果など、自然の木の良さの持つ特徴を余すところなく利活用できる断熱材として重宝されています。

​吸湿すると膨張する。コンセントやスイッチボックスの周囲の気密性が心配で壁内結露の配慮が必要。

羊毛(繊維系)

文字通り、羊毛を使用した断熱材です。
衣類として流通させることのできなかった羊毛や、羊毛の衣服をリサイクルしたものが製品化されています。
湿度を一定に保つ調湿性に優れていることから、年間を通して結露が気になるお施主さまからの関心が高まっている断熱材のひとつです。

また、繊維系断熱材を好むけれどグラスウールはチクチクとするのではないかという懸念や、天然素材に対する信頼感、既に洋服で体感している「熱伝導率の低さ」に関する安心感から、近年注目されている断熱材です。

​価格面を考えると初期投資が高価になる。

ロックウール(繊維系)

鉄炉スラグや玄武岩などを高温で加工することで作る石綿の一種です。
アスベストの代替材料として広く使用されています。
耐火性・吸音性に優れる点は、グラスウールに近い位置づけです。
ビニール袋に包まれた形状で出荷され、家の外壁と内壁の間に詰め込むように使用します。
素材そのものが水分を抱えることがなく、撥水性が高いことから、形状の保持が容易であるとされています。
廃棄処理の際にも特殊な処分手順が必要でないことも一般化した背景です。

グラスウール同様、コンセントやスイッチボックスの周囲や筋交いなどの気密が問題。

​また、グラスウールほど価格が安くない。

硬質ウレタンフォーム(発砲系)

建築現場で特殊な機械を使用し、外壁と内壁の間にムラなく施工する技術が発達してきたため、特殊な形状の建物でも使用しやすい製品が増えてきました。
プラスチック内部に熱を伝えにくいガスを泡状に抱き込ませることで、外気温の影響を室内に与えないという特徴があります。
比較的高価な部類にはいりますが、透湿への抵抗力や耐久性に優れるとされているので、長期的に見た時に安心な断熱材と言われています。
ボード状になっている製品もあり、比較的歴史のある断熱材とされています。

ビーズ法ポリスチレンフォーム(発砲系)

「EPS」とも呼ばれ、これも比較的歴史ある断熱材と言われます。
原材料となるビーズ状のポリスチレンを発泡させ、金型で成形します。
素材の持つ特徴として、水に強い・軽いという面を持ちます。
水を通しづらいことや耐久性に優れているというメリットと、施工が容易である事、比較的安価な部類に位置する事で利用範囲が広いとされています。
軽量であるため、断熱材が自重でよれたり壁内部で落下したりといったトラブルもないことから、広く使用される断熱材のひとつです。

フェノールフォーム(発砲系)

建築現場で特殊な機械を使用し、外壁と内壁の間にムラなく施工する技術が発達してきたため、特殊な形状の建物でも使用しやすい製品が増えてきました。
プラスチック内部に熱を伝えにくいガスを泡状に抱き込ませることで、外気温の影響を室内に与えないという特徴があります。
比較的高価な部類にはいりますが、透湿への抵抗力や耐久性に優れるとされているので、長期的に見た時に安心な断熱材と言われています。
ボード状になっている製品もあり、比較的歴史のある断熱材とされています。

断熱する位置
​内断熱

内断熱とは日本の住宅で一般的な柱の間や壁の内側に断熱材を敷き詰めた工法の事です。

メリットとしては外断熱と違い外壁部分に断熱材を施工しないので外壁の厚みが小さくてすみます。

建蔽率が小さくても、ギリギリまで部屋を大きくしたい時に有効な工法です。

また、外貼り断熱に比べ安価に抑えることができます。

デメリットとしては外壁材が冷気で冷やされると、断熱材部分との温度変化によって内部結露を起こしてしまうケースがあります。

※内部結露とは、窓結露のような事が柱の中でも起こっている状態です。

内部結露はとても怖く、せっかく頑張って建てた家の躯体(木)にカビが生えたり、腐らせる原因になってしまう事があります。

外壁材と合わせた内断熱の断熱材を選ぶ必要があります。

外断熱

通常、壁の仕上げ材(サイディングや塗り壁)のすぐ内側に通気層を設け断熱材を貼る工法です。

柱間に敷き詰めるのではなく、外側を包み込みように断熱材を貼る為、気密性に優れ、外部からの冷気を冷気に届けず内部結露の原因を防いでくれます。

ドイツなどの断熱先進国のほとんどは、外貼り断熱を採用しています。

メリットとしては、壁内部に断熱材の施工をしないので、壁を厚くせずに断熱処理をすることができます。

また、隙間が発生しにくい工法の為、気密性が高まりす。

非常にすぐれた断熱方法ですが、日本で浸透しきれない要因は、費用の高さがネックになっているようです。

内断熱と外断熱どっちがいい?

内断熱は、壁内結露を起こるリスクがあり、この点は外断熱が有利だと考えられます。

気密の観点は、内断熱で隙間なく柱・梁等に密着している方が確実ではないかと考えます。なので内断熱。

しかし、どちらもデメリットがあり、内断熱は柱と柱の間で断熱をするので構造部分が断熱材を通さず外気に触れる部分がる、いわゆる「熱橋」が存在する。熱橋部分は断熱効果を損ないます。外断熱は、外壁に張る材料が重いと長い年月が経つとズレ落ちるリスクがあります。

ダブル断熱.png
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