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【コラム】注文住宅はなぜ高いのか ― 制度と経済優先の循環を超えて

注文住宅はなぜ高いのか ― 制度と経済優先の循環を超えて

注文住宅はなぜ高いのか?制度の数値偏重や過剰な設備依存、着工数減少による単価引き上げなど、国・ハウスメーカー・設備メーカーの利害一致による経済循環を解説。本質的な家づくりの意味を問い直します。




はじめに


「断熱等級6」「耐震等級3」「長期優良住宅」。国の住宅政策やハウスメーカーの広告は、こうした“数値や認定”を前面に押し出しています。しかし、その裏にある構造を知れば知るほど、「注文住宅はなぜ高いのか」という疑問に行き着きます。

制度は図面上で計算できるものばかりを評価し、現場でしか確かめられない施工品質や地域性は制度化されない。さらに、過剰な設備機器の導入が“快適な家づくり”と称され、建築コストを押し上げています。その背景には、ハウスメーカーを優遇する仕組みと、経済を最優先にする国の思惑が潜んでいるのです。

では、そんな歪んだ構造のなかで、なぜ私たちは“注文住宅”を建てるのか。ここにこそ、今改めて考えるべき家づくりの本質があります。



戦後〜高度成長期:ハウスメーカーが輝いた時代


戦後の日本は深刻な住宅不足に直面していました。大量に、短期間で、都市に住宅を供給しなければならなかったのです。ここで力を発揮したのが、ハウスメーカーの「規格化された大量生産モデル」でした。

  • 工場で部材を生産し、全国に供給できる

  • 展示場で新しいライフスタイルを提示できる

  • 都市集中・核家族化のニーズにスピーディーに対応できる

この時代背景においては、大量生産モデルはまさに社会を救う存在でした。



少子高齢化の時代に合わなくなったモデル


ところが現代は、人口減少・少子高齢化の時代です。空き家は1000万戸を超え、家族の暮らし方は多様化しています。

  • 同じ規格の住宅を大量に建てる必然性はなくなった

  • 地域ごと、家族ごとに求める暮らし方が違う

  • 需要より供給が多い時代に「大量販売」を続ける矛盾

👉 だからこそ、「注文住宅はなぜ高い」のかという問いは、単なる自由設計の問題ではなく、この時代背景とのズレに深く関わっているのです。



注文住宅はなぜ高いのか ― 制度のタブー


制度がハウスメーカーに有利である理由は明快です。図面上で計算できる数値ばかりが制度化されているからです。

  • 断熱性能(Ua値)

  • 耐震等級

  • 一次エネルギー消費量

これらは設計段階でクリアできます。大量の図面を効率的に処理できるハウスメーカーにとっては有利な基準です。

一方で、実際に暮らし心地を左右する施工品質――

  • 断熱材の充填精度

  • サッシまわりや配管まわりの気密処理

  • 基礎コンクリートの打設強度

これらは現場でしか確認できません。にもかかわらず、気密性能(C値)の測定は義務化されず、施工品質を評価する制度も存在しません。

👉 制度が施工品質を外していることは、結果的に「現場品質に強い工務店」よりも「数値を大量処理できるハウスメーカー」を優遇する構造になっています。このタブーこそが「注文住宅はなぜ高い」の根本的な背景のひとつです。



注文住宅が高い本当の理由は“過剰な設備依存”


「注文住宅はなぜ高いのか?」と聞かれると、多くの人は「自由設計だから」と考えます。しかし、実際にコストを押し上げているのは、過剰な設備機器の導入です。

  • 高効率エアコンや給湯器

  • IoTによるスマートホーム設備

  • 厚みだけを増した断熱材

国は「快適な家にするなら補助金」と言いますが、その“快適”は設備導入に偏っており、結果として建築コストが跳ね上がります。



ハウスメーカーが有利になる仕組み


過剰な設備依存は、まさにハウスメーカーの得意分野です。

  • 大量仕入れで単価を下げつつ、施主には定価ベースで請求 → 高利益を確保

  • 補助金があることで施主も導入を受け入れやすい

  • 設備メーカーも薄利多売で最終的に高利益を確保

👉 こうして「注文住宅はなぜ高いのか」という疑問の裏には、国・ハウスメーカー・設備メーカーの利害が一致する経済循環があるのです。



建築コストを引き上げる施策はなぜ生まれたのか


では、そもそもなぜ「建築コストを引き上げる施策」が打ち出されるようになったのでしょうか。


答えは明快です。ハウスメーカーを存続させるためです。


数十年前、日本では年間100万戸以上の住宅が建築されていました。ところが現在は70万戸前後まで落ち込み、需要は大幅に減っています。

  • 着工数が減れば、当然売上も減少

  • 巨大な組織や展示場網を維持するには「量」では補えない

  • 👉 その穴埋めとして「単価を上げる」必要がある

こうした背景から、国は「高効率設備導入で補助金」「高性能化を義務化」といった方向で施策を打ち出しました。表向きは「国民の快適な暮らしのため」ですが、実際には ハウスメーカーが規模を維持するための単価引き上げ策 です。


さらに、この仕組みは設備メーカーにとっても大きなメリットがあります。

  • 高効率機器の需要増 → 売上拡大

  • ハウスメーカーからの大量発注 → 安定的な販路確保

  • 市場全体の価格帯を押し上げることで利益も確保


結果として、

  • :住宅市場に資金を流し、経済効果を演出できる

  • ハウスメーカー:単価を上げて減少する棟数を補える

  • 設備メーカー:売上増・利益増を実現できる

👉 「注文住宅はなぜ高いのか」という問いの答えは、この三者の利害一致による構造の中にあるのです。



建築屋の使命とは何か


ここで改めて強調したいのは、設備に頼ることが建築屋の使命ではないということです。

建築屋がすべきことは、

  • 設備がなくても快適に暮らせる家をつくること

  • 地域の気候風土に適した構法を選ぶこと

  • 100年先も安心できる耐久性を担保すること

その上で足りない部分を補う手段として設備を導入する。👉 本質を追求した建築がまずあって、設備は“補助的な役割”であるべきなのです。



それでも、なぜ注文住宅を建てるのか


ここまで見てきたように、制度や補助金は歪みを抱え、経済優先の循環の中で「注文住宅はなぜ高い」という現状がつくられています。しかし、私たちが家を建てる本当の理由はそこにはありません。

  • 賃貸住宅での寒さ・暑さや騒音の不便を解消したい

  • 収納不足や結露、光熱費といった日々のストレスから解放されたい

  • 数値や補助金では測れない“暮らしの快適さと安心”を家族に届けたい

👉 注文住宅を建てる意味は、制度に合格するためでも、補助金を得るためでもありません。快適に、安心して、家族が自分らしく暮らす未来を手に入れること。それこそが注文住宅を建てる理由です。



まとめ


注文住宅はなぜ高いのか?」――その答えは、制度の数値偏重、過剰な設備依存、着工数減少による単価引き上げ、そして国・ハウスメーカー・設備メーカーの三者利害一致による経済循環にあります。戦後・高度成長期には有効だった大量生産モデルも、少子高齢化の今は時代と合わなくなっています。

にもかかわらず、国は経済を優先し、ハウスメーカーと設備メーカーは利益を確保する。しかし、家づくりの本質はそこではありません。

建築屋は 設備に頼らなくても快適に暮らせる家をつくること に使命があります。

👉 だからこそ、改めて問いかけたいのです。あなたは、何のために注文住宅を建てますか?

制度でも数値でもなく、家族の未来を守るため、快適さと安心を得るため。それが注文住宅を建てる本当の理由です。

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